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7月14日のJリーグ 川崎-大宮  等々力スタジアム

南アフリカでのワールドカップがスペイン優勝で終わり、中断していたJリーグの再開試合である。

川崎は森とヘナチーニョを出場停止で欠き、ジュニーニョ、寺田は怪我のためベンチにも入っていない。
だけど、ワールドカップで出場機会の少なかった日本代表の中村憲剛と稲本潤一が、初めてダブルボランチとして出場している。

試合自体は凡庸なものだった。
退屈といってもいい。
結果も0-0のスコアレスドロー。
それでも勝てば違う意味も見つけられたのだろうが、
この日の川崎に見るべきものはほとんどなかった。
試合内容については書くべきこともないので、それ以外を書き留めておこう。

この日はいろんな人が等々力に顔を見せていた。
試合後にはもうすぐ退任となる鬼武チェアマンが川崎の武田社長と握手をして去って行ったし、普段はほとんど顔を見ない記者や関係者の姿もあった。

記者席の私のすぐ近くにうじきつよしさんが座っていた。
これまで川崎の試合で見かけたことはない。
その前列にはエイミーちゃん http://ameblo.jp/ami-e-de/ が座っているからスカパー!ご一行様なんだろうと思う。
試合後、うじきさんにちょっとだけ話を聞いた。
私が「試合、どうでしたか?」と口にする前に、うじきさんの方から「どうなの、これ?」と言ってきた。

「等々力はヴェルディ時代以来ですからかなり久々です。住んでいるのが世田谷ですから近いんですけどね。
川崎の選手やクラブの人たちはこの試合をどう考えて臨んだのか、モチベーションを知りたいですねェ。
ワールドカップでみんなの目がサッカーに向いているっていう試合、もしかしたらシーズンで一番勝たなければならない試合だったかもしれない。
だけどなんだかただの再開試合のように感じましたねェ。
これで良かったのか…。
モチベーションを訊いてみたいです」

うじきさんはおそらくJではFC東京に重心がある人なのだと思う。
それでも試合中に聞こえてくる声はあきらかに川崎目線だった。
それだけこの試合には期待していたのだろうと思う。
だからこそずいぶん久しぶりに等々力に足を運んだのだろう。

うじきさんならずとも、そういう思いで等々力に足を運んだ人たちはたくさんいただろう。
平日19時キックオフの試合に17722人の入場者である。
そういう意味でも非常に残念な試合だった。


試合後、ベルギーのリールスに移籍するGK川島永嗣と、ドイツのボーフムに移籍するチョン・テセの「激励会」が行われた。
「タイトルを目指す」と明言しているクラブから、シーズン途中での海外移籍である。
しかし、クラブもサポーターも優しかった。
少なくとも私にはそうとしか見えなかった。

スタジアムDJがいつもそうするようにそれぞれの選手名を叫ぶと、誰もいない緑のピッチを川島とテセがメイン側からバックスタンド前に設けられた特設ステージに向かってひとりずつゆっくりと歩き始める。
さっきまで試合をしていたピッチが恐ろしく広く見える。
オーロラビジョンに川崎に加入してからのふたりの画像が次々と映し出され、女性のスタジアムDJが経歴を読み上げる。
川島について「大宮に入団し…」と女性DJが言うと、アウェイ側ゴール裏に残っていた大宮のサポーターから拍手が沸き起こる。
目をやると、そこには「大宮発 川崎経由 世界行 戦え川島」の横断幕。
だけど川島は川崎のことばかり話し、大宮にはまったく触れない。
スピーチの合間にはBGMとしてかかっている『トップ・オブ・ザ・ワールド』のオルゴール音が静かに鳴り響く。
「最後に!」と言って川島が口にしたのは、大宮への感謝の言葉だった。
後で川島が所属するマネジメント会社の人に聞くと、DJが経歴を読み上げている時点で川島はすでに涙がこみ上げてきていたらしい。
普段は27歳と思えぬほどの落ち着きを見せている川島が、この時ばかりは歳相応の若者に見えた。

テセはいつも通り、ちょっとした冗談でサポーターを笑わせると、最後にはやはり涙ぐみ、記者席からその涙顔が映し出されたオーロラビジョンを見ると、そのちょうど真下に、いつもそこにあるテセの顔を絵文字で書いた横断幕があった。
しかし、この日の横断幕のテセの目からは一粒の涙が流れていた。
オーロラビジョンに映し出された涙顔のテセの顔のアップと、涙を流している横断幕のテセの顔が思い切りシンクロしていて、私にも感じ入るものがあった。

その後、ふたりは他の選手たちと抱き合い、チームメイトとして戦った過去に区切りをつけた。
チームメイトがすべてロッカールームに引き上げても、川島とテセは残ったままだ。
等々力のバックスタンドには「Gゾーン」と呼ばれている、コアサポーターが陣取る一角がある。
ふたりはそこで本当にサポーターとの親密な別れを惜しんだのだった。

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川崎の選手やスタッフがシャワーを終え、次々に帰りのバスに乗り込む。
バスが出発する。
川島とテセはそのバスには乗っていない。

しばらくすると、まだシャワーさえ浴びていないテセが、先ほどコアサポーターの前にいた時と同じユニフォームのショーツ一枚、上半身裸、しかも裸足のままの姿で大勢残っているサポーターの前に姿を現した。
先導しているのは川崎の通訳、中山さんだ。
嬌声をあげているサポーターの集団の中から男性ふたりが歩み出ると、何やら小さな包みをテセに渡している。
私はすぐ近くでそれを見ていたのだが、包みの中身は黒いスパイクだった。
これから海外に渡ろうとするプロの選手にスパイク!?

後でテセに聞いてみた。
「カズさんがスパイクくれたみたいで、まったくのサプライズで横浜FCの(通訳の)方がくれました。
ホンマ嬉しい! 超嬉しい!!」と満面の笑顔。
そういえばさっきテセがスパイクを渡されて頬ずりしている時にチラッと見えた黒いスパイクには、金文字で何か書かれていた。
あれはカズのサインだったのだろう。
かねてよりテセはカズの大ファンであると公言して憚らなかった。
私は、今もJ2の横浜FCで現役を続けている日本のスタープレイヤーの粋な計らいをちょっと思った。

テセの母親。
「ドイツに行くのはちょっと淋しいですけどね…こんなに可愛がってもらって。
今日なんかもうずっと涙をこらえていました。
本当にフロンターレの人たちに可愛がってもらってたんだなってことを思うと淋しくなっちゃって…。
海外行きたいっていうのはずっと本人の夢でしたから、やっぱりサッカー選手にとってはね。
それが実現したんで、それは川崎フロンターレというチームが育ててくれたんだと思う。
もうありがたくてありがたくて…。
ほんっとに荒削りで技術も何もないテセがね、ここまで育ったのはフロンターレのおかげですし、ファンの方たちのおかげですよね。それを今日実感しました。
言葉で表せないです、そのありがたさは」

テセが最後にやっとスタジアムを出て、まだ大勢待っているサポーターの前に姿を見せたのは試合が終わった約2時間後の22:40分のことだった。
川崎のフロントスタッフ、天野さんが鈴なりのサポーターを見回しながらつぶやくように言った。
「今日って平日の夜ですよ? まだ夏休み前で、明日も学校や会社があるのに…」
「いやいや、あんたたちが長年に渡ってがんばって仕掛けてきて、これだけの情熱の塊を呼び寄せたんでしょ!」という私の言葉はサポーターたちの嬌声にかき消されて、自分の頭の中だけでぐるぐると回っていた。


川島にとっても、そしてテセにとっても、それがふたりの最後の目標ではないはずだ。
今後の活躍に大きな期待を寄せたい。

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