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AC長野パルセイロのこと (後編)


監督会見は球技場脇にある倉庫みたいなところで行われた。
驚いたのはENG(ムービーカメラ)が5台も設置されていたことだ。
他にスチールのカメラマンとペン記者もいるため、狭いスペースがギチギチの満員だった。
私も最後尾になんとかわずかなスペースを見つけてもぐりこんだが、立っているところ以外に足の踏み場はないほどだった。
SC相模原・木村哲昌監督の会見が終わり、今シーズンから指揮を執るAC長野パルセイロの美濃部直彦監督会見がはじまった。


監督はまず悪天候の中かけつけたサポーターに対して謝辞を述べた。
「今日の勝利について選手たちにもサポーターの皆さんにも『おめでとうございます』と僕から言いたいと思います」と。
それから試合の感想として「全般的に長野がゲームをコントロールできた」と述べ「結果的に勝ったので良かったかなと思います」と結んだ。
「結果的に勝ってよかった」と口にした美濃部監督。
勝利を望まない監督はおそらく世界中どこをさがしてもいないだろう。
だから美濃部監督のその言葉は当然のことだし、本心でもあったと思う。
だから質疑応答で私は訊いた。
「ポゼッションを高めてボールをつないでいくサッカーをしようとしているのは見ていてわかったが、今日はこの悪天候。監督としてはチーム作りと勝利とどちらを優先させるのか?」

それに対し美濃部監督はこう答えた。
「それは今年のテーマであって、我々はJFLでの優勝を目指してやっています。それと同時にチームの成長、土台作りというのも並行してやっています。
今日のゲームで言えば、開幕戦ということで勝ちたい、皆さんに勝利の瞬間を味わって貰いたいという非常に強い気持ちがありました。
だけど勝つためだけのサッカーでは成長はないので、そこを並行していくためには恐れないことが重要。今日もつないで引っかけられる場面がありましたが、それでも恐れないでつないでいく。それには選手の判断も必要となりますが、その両方をやっていかないとこのチームの未来はないとも思っています。
我々が目指しているのはJ昇格ですが、昇格するだけでなく、そこで戦っていくこと、その先を今から見据えて準備していかないといけない。
チームの戦うスタイルを確立していかないといけないと思いますから、今日みたいにコンディションの悪い中で、単純なサッカーで押し切って勝った、セットプレー1本で勝ったとか、そういう戦い方もありますし、それも大事だとは思いますが、それだけにこだわっていたらチームとして積み上げられないと考えています」

ただ勝利だけを目指すのではなく、Jで戦う先を見据えてチームとしてのスタイルを作っていこうという美濃部監督の姿勢。
とても素晴らしいことだと思うし、そうでなければ結果的にJに上がってもすぐに降格の憂き目にあい、エレベーターチームとして不安定なシーズンを繰り返すことになるだろう。
すでにそうしたチームはいくつかある。
だから私は美濃部監督の姿勢に強い共感を覚えるのだが、そのことと「結果的に勝ってよかった」という言葉は相反するのではないだろうか?
「結果的に勝ってよかった」というのは、逆の言い方をすれば「結果として負けるのは悪い」ということになるのではないか?
「全般的にゲームをコントロールできた」としても、結果として負ければそれは悪いことだ、と。
揚げ足を取るようで少々申し訳ない気もするが、監督の言葉というのは軽いものであってはいけない。
ましてやチームを作っていく上での根幹にかかわる部分だ。
おそらく美濃部監督は単純に二者択一をチームに求めているわけではないだろう。
だが「結果的に勝ってよかった」という言葉は大きな誤解を孕むものではないかと思う。

監督のいうように、チームのスタイルを作ることと、それによる勝利を同時並行でやっていかなければならないというのはわかるし、そうしなければ先はないと私も思う。
だけど、個人的にはそれだけでは足りないとも思うのだ。

ピッチに立って戦っているのは選手たちだ。
美濃部監督はかなり緻密な練習をしていると聞くが、練習ではそうであっても、本番の試合で選手たちが監督の枠からはみ出すことができないのであれば、苦しい状況に陥った時に打開の手立てを持てないのではないか?
監督の意図を十分に理解しながらも、時には局面やピッチコンディションなどに適応した戦い方を選手自身が選択できなければ、これもまた美濃部監督のいうように「未来はない」のではないだろうか。

この試合の後半、風下に立った相模原はしっかりとブロックを作って守備の意識を強めていた。
アウェイでピッチコンディションを考えれば当然取るべき選択だったと思う。
それに対し、美濃部監督は「ゲームをコントロールできた」と言ったが、実際にはほとんどの時間で膠着状態が続いていた。
穿った見方をすれば、長野の選手たちは監督の“言いつけ”を守る優等生ばかりだった。
私にはそこが物足りない。

自分たちが身につけているユニフォームの左胸を見よ。
そのライオンはパルセイロの前身、長野エルザサッカークラブの名称の元である「野生のエルザ」からきているのではないのか?
あのサッカーのどこに野性味があっただろうか?
残念ながら私には90分間を通してそのエンブレムが表すプレイを見つけることはできなかった。

ともあれ、長野の人たちにとってホームで迎えた開幕戦での勝利はやはり格別だったろう。
ましてやもうすぐ使えなくなるグランドで、新監督・新体制による勝利だ。
おまけに雨と風とあの寒さ。
私からもAC長野パルセイロにかかわるすべての人に「おめでとう」の言葉を捧げたい。


さて、これで私のはじめてのJFL開幕戦も終わったわけだが、この文章をここで閉じてしまうのは少々気が引ける。
なぜならまだ言及していないことがあるからだ。
試合のことではない。
試合を成り立たせているチームではないもうひとつの“土台”のことだ。
当初の予定を変更して、番外編としてこの後に続けようと思う。


※ 監督との質疑応答に関しては声が聴きとりづらかったため、細かい言い回しについては正確性を欠いている。
  ただし、その意について大きな間違いはないはずだ。どうかご理解いただきたい。


(後編・了 番外編に続く)







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